万博をカジノの隠れ蓑にするな「おごれる維新久しからず」や

万博という「衣」の下からカジノという「鎧」が見えてきた。

維新の大阪府政・市政が誘致を進めるカジノを中核とする統合型リゾート施設(IR)をめぐり、候補地である大阪湾の人工島「夢洲」の液状化や汚染土壌対策費として約800億円を市が負担するという。

各国のパピリオンが建設される予定地

スクープした読売新聞によると、万博会場の玄関口となる「夢洲駅」(仮称)周辺を調査したところ、基準値の2~3倍のヒ素と1・5倍のフッ素が検出された。松井市長は「IRの来場者が安心して過ごせる土壌に改良するのは、土地所有者である我々の責任だ」との考えを示したと報じている(12月11日配信)。

「市はこれまで、夢洲や同じ人工島の舞洲、咲州の土地を事業者に販売・賃貸する際、契約後に土壌汚染などがみつかっても市は費用を負担しない『瑕疵(かし)担保責任の免責』を原則としてきた」

ましてや、松井市長は「IR、カジノには税金は一切使わない」と断言していたはずだが、今回はなぜ、市民の税金をつぎ込もうとするのか。

府・市のIR事業者公募には、MGMリゾーツ・インターナショナル(米国)とオリックス連合の1事業者のみが応募し、9月に選定された。「MGMとオリックス連合に撤退されては困るので、えこひいきをしているのではないか」とか「オリックスの社外取締役が竹中平蔵氏だからでは」などの声も聞こえてくる。要するにIR、カジノに税金を投入すると批判されるので、万博を大義名分にして夢洲のインフラ整備をやってきたのがばれ、開き直ったのか。

地中からゴミが出たと8億円値引きした「森友学園」のケースと似てないか。今は800億円だが、今後どれだけ膨らむかわからない。

万博会場の建設費用は当初1250億円とされたのが現時点でも5割増の1850億円に拡大。国と府・市、経済界が3分の1ずつ負担するため、市の負担は100億円増える。

人件費や建築資材費の高騰もあるが、主な理由が会場デザインの変更。万博会場を囲むリング状の大屋根(1周約2㌔)の建設。雨や日差しを防ぎ、大屋根の上を歩いて「空中歩廊」としても楽しめるよう追加で設置を決めたという。万博後に撤去する大屋根に350億円もかけるのはあまりにも巨額過ぎないか。

また、夢洲へのシャトルバス専用道として市が整備している高速道路「淀川左岸線」2期工事でも土壌汚染が確認され、当初の整備費約1100億円は約1800億円と、負担増はいくつも挙げられる。

年明け2月の府・市議会で審議されるが、十分な説明もなく、数の力で押し切ろうとするなら「おごれる維新は久しからず」だ。

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