新型コロナと緊急事態宣言 生活むしばむ感染拡大

利用者心理で言えば、いかに換気しているとはいえ、狭い車内で同じ空気を吸っているという不安もタクシーが敬遠される理由の一つだろう。

一方で、不特定多数の客を乗せる運転手自身も感染の危険にさらされている。乗客の利用目的を知らないこともほとんどで、例えば、感染の疑いがある人が「帰国者・接触者外来」で診察を受ける場合には公共交通機関を使わず来院することが原則だが、自家用車がない人がタクシーを利用するケースがないとは言えない。

「毎朝、熱を計って乗車するようになりました。お客さまにはマスクをしていただくようにしており、代金も直接受け取らないようにしています。それでも、いつ感染しているかもわからないので、年老いた両親への見舞いも遠慮しています」

東京都内を中心にタクシー事業を展開する「ロイヤルリムジングループ」が新型コロナの影響で経営状態が悪化、600人の運転手を解雇した。会社側が「休ませて休業手当を支払うより、解雇して雇用保険の失業給付を受けた方がいいと判断した」「終息すれば再雇用したい」などと説明したのが好意的に受け止められているがどうなのか。

青野さんは「許されないこと」と言い、こう説明する。

「会社から突然告げられ、退職合意書にサインするよう求められた。解雇ではなく、退職勧奨の形式が取られたそうです。即時解雇の場合には平均賃金の支払いが義務付けられますが、退職の場合は払わなくてもいい。再雇用の約束にしても守られる保証はない。ブラック企業ですね。こんなやり方が増えるのではないですか」

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