新型コロナと緊急事態宣言 生活むしばむ感染拡大

陰性検査も負担増

地方衛生研究所勤務の読者Aさんからもメールをいただいた。新型コロナの検査を担当する全国の衛生研究所の一つ。PCR検査をめぐってはなかなか検査数が増えないことなどが報じられている。市民にとっても検査の問題は、大きな関心事の一つであり、不安材料でもある。

Aさんの職場も「いっぱいいっぱいの状態」だという。入院患者が回復し、退院させるための陰性確認の検査が結構な割合を占めているからだという。

「2回の陰性を確認しないと退院できません。このウイルスは、回復してもかなりの期間、ウイルスを排出し続けるので回復後、退院まで一人当たり数回の検査が必要になってくるのです。新規の人の検査の上に、この陰性確認がかなりの負担になっています」

感染が深刻化するとともに、検査の拡大は急務に見えるが、現場ではどう受け止めているのだろうか。

「検査を拡大するためには、24時間体制で受け付けしていても相談が殺到している保健所を通さずに、検査を受付できるシステム、安全に検体採取する場所、採取する医師スタッフ、検体を搬送する人、検査する機関、感染病原体を扱うことに熟練したスタッフ、十分な検査機器、そして、恐らくものすごい数になる軽症の陽性者をどうするかです。

能力のある民間機関に検査を回すこと。指定病院を圧迫しないように、軽症者の処遇をどうするか。きっちり対策立てないと、医療崩壊は起こると思います」

Aさんはこのように指摘したうえで、検査を担う現場の厳しい状況を案じた。

「検査に追いまくられる中で、全国の衛生研究所で勃発している検査間違い、どこでも起こりそうです。狂牛病BSEの検査を間違い、自殺した獣医を思い出し心痛みます。現場で必死で働いている人たちを追い詰めることない対策を心から望みます」

発熱の患者に苦慮

感染者が増大するなか、医療システムの崩壊という懸念も高まっている。大阪では4月半ば、重篤な患者を受け入れる3次救急医療を担う府内4カ所の病院が、新型コロナの重症者を優先するため、救急受け入れを停止したり、一部を制限したりしている実態が報じられた。

4カ所の一つは堺市にある。緒方浩美さんは、同市内の耳原鳳クリニックの内科医として外来診療や在宅患者の医療に追われる日々だ。コロナに感染した疑いの患者を断る医療機関も少なくなく、直接診察してもらえないケースも。何軒も回って緒方さんのクリニックにたどりつく患者もいるという。

地域医療の一翼を担うこのクリニックでも、発熱患者に対してはより慎重な態勢であたるようになったという。 「以前なら喉のようすを見たりしましたが、それもいまはできません」

ゴーグル、マスク、ガウンなどは必須。だが、ここでも「物品が不足していて、なかなか購入のめどがたたない」という。

「感染の疑いのある患者に対応した場合を除き、1人あたりサージカルマスクが1週間1枚が基本。それを消毒しながら使用する状況です」

 

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