統国寺で「ナンジャン」 対立より「同じ人間」

在日コリアンにゆかりの深い大阪市天王寺区の統国寺で11月2日、日韓対立を越えて友好を願う催し「ナンジャン」が開かれた。韓国の伝統芸能「サムルノリ」や民族舞踊、歌やダンスなどが披露され、圧巻はイラストレーターの黒田征太郎さん(80)と韓国の伝統楽器奏者の金徳洙(キム・ドクス)さん(67)による「ライブペインティング」。黒田さんが韓国打楽器の音色に合わせて日韓友好の絵を即興で描き上げると、境内に詰めかけた200人から大きな歓声と拍手が鳴り響いた。           (矢野宏)

 

ナンジャンとは、韓国語で人々が自由に交流する場を意味する言葉で、いわば何でもありのイベントのこと。黒田さんと金さんは30年前にもナンジャンを大阪市内で開催したことがある。今は亡き作家の野坂昭如さんと中上健次さんらに声をかけ、歌手の都はるみさんや宇崎竜童さんらが舞台に立ったという。

ナンジャンを30年ぶりに復活させたのは、日韓関係の悪化を憂えてのこと。黒田さんは「今、5歳の子どもを見て、その子の二十歳の時を想像すると、そこに明るい未来は想像できない。それを変えるのは僕らの責任だと思っている」と訴える。

境内には、かつて東西ドイツを隔てたベルリンの壁の一部が保存されている。分断から統一の象徴であるベルリンの壁の前に設けられた舞台で、金さんと在日4世の若者たちが韓国伝統楽器の鐘や太鼓を打ち鳴らすサムルノリで会場を盛り上げた。ラップやダンス、韓国の民族舞踊が披露されたあと、照明に照らされたステージにブルース歌手の新井英一さんが登場。ヒット曲の「清河への道」や「イムジン河」を熱唱し、集まった200人を魅了した。

締めくくりの「ライブペインティング」では、金さんが打ち鳴らす韓国の伝統打楽器「チャング」の音色にあわせて、黒田さんがキャンバスに絵を描いていく。打ちつけた紺色の点を手のひらで引き伸ばしたあと、絵筆を握って青色や水色の絵の具をキャンバスにたたきつけていった。黒田さんが40分かけて描いたのは水と太陽だ。

「水ってどこへでも行けるじゃないですか。韓国の漢江ともつながっている。そういうのを共有しながら、なんで国家間がきしむのかという気持ちがあって描きました。おひさまは誰もが大事にしないといけないものです」

完成した絵と、その後ろに立つベルリンの壁に照明で浮かび上がっている。深まる日韓対立の中で私たちができることは何か。

「一緒の人間ですよね、韓国人も朝鮮人も日本人も。いい意味でもっと軽く考えたらいい。同じ人間じゃないか、と。難しく考えようとするから、嘘ばかりついている政治屋さんにだまされるのです」

「新聞うずみ火」の年間購読は下記からお願いします

関連記事



ページ上部へ戻る