大阪市を廃止し、4つの特別区に分割する、いわゆる「大阪都構想」の賛否を問う住民投票が11月1日に行われる(10月12日告示)。僅差で反対票が上回り、大阪市の存続が決まった2015年に次ぐ2度目の住民投票だが、新型コロナ感染防止を理由に、市主催の住民説明会は前回の39回からわずか8回に激減している。市民の一人として、説明会に参加した。
住民説明会は9月26、27日、10月3、4日の午前午後の計8回、市内のホテルや公共施設などで開催。定員は300人~500人で、事前に申し込みが必要だ。定員を上回れば抽選になる。5年前に比べ、回数、定員とも約5分の1に縮小したという。
足を運んだのは初っ端の26日午前の部。会場は大阪市北区中之島の市中央公会堂だ。もし賛成多数になればこの大阪市民の歴史的財産も、大阪府のモノになってしまう。
入口で検温、手指のアルコール消毒をして、参加ハガキと引き換えに「『特別区設置協定書』について」という説明パンフレットを渡される。カラー刷り42ページ。5年前に参加したときには「参考意見」として賛否の意見をまとめた別刷りのわら半紙が1枚、申し訳程度に配布された。しかし、それすらもない。松井一郎市長は<「そういう形でお互い主張し合っても余計に混乱する。役所で作ったパンフレットを基に冷静に判断していただきたい」>(毎日新聞9月27日朝刊)と述べたという。
特別区設置協定書(以下、協定書)は、政令指定都市である大阪市を廃止し、4つの特別区という新しい自治体に分割する、いわゆる「大阪都構想」の設計図だ。住民投票で問われるのは、この協定書の賛否である。関係市町村の長は特別区設置を定めた法律に基づいて、協定書の内容を住民にわかりやすく説明する義務がある。そのための手引きがパンフレット。説明会を前に複数のメディアが「メリット一色」などと批判したいわく付きだ。
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