「大阪都構想」住民説明会始まる

開始時刻の1時間前から開場し、続々と参加者が席に着く。説明会がはじまるまで、舞台の大型スクリーンには、説明パンフレットの「動画版」が繰り返し上映されていた。<このたびの新型コロナウイルス感染症の危機においても、府市の連携を柱に、国に先んじた緊急対策が実施されました。しかしながら、いまのこうした府市の連携は知事と市長の人間関係に頼っているものです。これまで築いてきた府市の連携を将来に向けて確実なものにするには……>。こうした調子で延々続く。5年前に参加した会場にはなかった趣向だ。

午前10時半、事務方による説明がはじまった。スクリーンに説明パンフレットの図表などが映し出され、職員がそれらを早口で読み上げていく。続いて松井市長、吉村洋文知事がスクリーンを背負って説明に立つ。「財政シミュレーションでは特別区の財政は赤字にはならない。財政がプラスである限り、いま受けていただいているサービスは十分守れる」。松井市長は特別区になっても住民サービスは維持されると力説。吉村知事も「府市はかつて二重行政だったが、この10年、松井市長と僕、その前は橋下市長と松井知事でバーチャル大阪都に取り組んできた。いわば人間関係に依存した取り組みで、それを制度としてやるというのが都構想、広域行政のキモ」と「都構想」の意義を強調した。松井氏は大阪維新の会代表で吉村氏は代表代行、橋下氏は創設者である。

2人の説明が終わると残り時間は20分足らず。何十人も手を挙げたが、指名されたのは6人のみで時間切れとなった。会場を出ると、市民グループなどが「都構想」反対のチラシを配布していた。一方、市の〝お手盛り〟パンフレットは市内に全戸配布されるという。

残る10月3、4日の説明会は既に締め切られている。26,27日の分も含めYouTubeで録画配信はされる(ぜひ見てほしい)。だが、そもそも、政令市の存廃という大阪以外例のない重大な選択を迫られる市民に対し、判断材料はフェアに提示されるのだろうか。(栗原佳子)

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