「第6波 大阪コロナ死最多」繰り返す医療危機(1)保健所からの連絡は感染判明から1週間後

◆現場の声聞いて

さらに現場を混乱させているのがトップダウンだ。例えば1月下旬、吉村洋文知事が「保健所の負担軽減」だとして導入を発表した「みなし陽性」。現場の保健師らは何も知らされていなかった。「現場に周知する前になぜ、軽々しく発表して、しかも『負担軽減』だと。それで問い合わせが保健所に殺到して、さらにひっ迫するというのに。『あれだけテレビに出るのだったら、お願いだから府民に謝ってほしい。失政とか言わなくてもいいけれど、保健所は回っていません』と。そう言う保健師さんもいます」

「非常事態」を示すため、赤くライトアップされた通天閣=大阪市浪速区

小松さんらは第4波が小康を得た昨年7月、保健師や保健所の事務職員、看護師らとオンライン会見、薄氷を踏むような最前線の実態をまとめ、知事や健康医療部長宛てに「5波に備えてほしい」と申し入れをした。
しかし、結局、そのまま第5波に突入した。「第5波が終わった時に、保健師さんは『今の落ち着いているときに何とかしてほしい』と言っていましたが、何ら対策をやってこなかった。感染症対策の保健師を集めて声を聞くことかできたはず」と小松さん。

大阪では高齢者施設や障害者施設で感染者が出てもすぐに把握できない状態が続いている。入院や宿泊療養させこともできず、それぞれの施設が対応するしかない状態だ。第4波でも宿泊施設には介助が必要な高齢者や障害者、日本語が不得手な外国人は入所できず、保健師らは当時から強く改善を求めていた。
大阪はコロナの死者数が全国ワースト。吉村知事は2月21日の会見で「大阪は死者数が多いと言われるが、致死率で言うと都道府県で真ん中あたり。死者数がなぜ多いのか。専門家に聞いてもわからないのが現状」などと語った。
小松さんはSNSにこう書き込んだ。「お願いだから現場の声を聞いてください。きっとそこからわかることがたくさんあるし、こうなる前にできる対策があったと思う」

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