「第6波 大阪コロナ死最多」繰り返す医療危機(1)保健所からの連絡は感染判明から1週間後

保健師らの声をSNSで代弁する大阪府職員関係労働組合執行委員長の小松さん=大阪市中央区

業務ひっ迫を理由に、濃厚接触者の追跡調査をしなくなり、陽性者への健康調査も中止された。感染が確認された人へ府内の保健所から電話し健康観察を行う「ファーストタッチ」の対象は1月に40歳以上、2月には65歳以上と重症化リスクのある人のみとなり、外来入院は酸素吸入が必要な「中等症Ⅱ」以上に限られるようになった。それでも現場は楽にならない。

2年前の第1波から保健所の人員不足が指摘され、現場からは過労死ラインを超える勤務を強いられている現状が報告され、態勢強化を求める声が相次いだ。にもかかわらず、教訓は生かされていない。その元凶は「保健師不足」だ。

厚生労働省の調査では、大阪府の人口10万人当たりの保健師数は27・7人と、全国平均の6割程度。全国ワースト2位の少なさだ。
現在、府の保健所は9ヵ所。政令市や中核市の保健所を合わせると18あるが、2000年と比べると3分の1。かつて24区すべてにあった大阪市はわずか1カ所になった。

1994年に「地域保健法」が制定され、全国的に保健所の統廃合と人員削減が進んだ。大阪で保健師削減をより加速させたのが、橋下徹・大阪市長と松井一郎・大阪府知事時代の2012年に制定された「職員基本条例」だった。職員数の管理目標を5年ごとに職員を減らすもので、コロナ禍の緊急時でも定数を増やせない仕組みだという。

府職労では一昨年秋、保健師や職員増を求めるネット署名に取り組んだ。昨年4月、各保健所の保健師の定数が1人ずつ増えたが、定年退職者もいるので減員となった。
小松さんは「今は他の局から九つの保健所に約130人が応援に行っています。それでも足りません。応援を出す方も人がいないのです。保健所で8時から5時まで仕事して、終わってから自分の職場に戻って夜中まで仕事する状態。保健所にも府庁全体も人がいないのです。昨年度1年間の府職員の時間外勤務実績は、142万9037時間となっています。府職員の年間所定労働時間で考えると762人分の労働時間に相当します」と、職員減らしが根本にあると指摘する。

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