元ソウル特派員が見た日韓関係 救済されない元徴用工

2月の「うずみ火講座」が7日、大阪市此花区のクレオ大阪西で開講し、朝日新聞記者の武田肇さんが「元ソウル特派員が見た日韓関係の現在地」と題して講演した。武田さんは2017年3月下旬から今年1月9日までの2年9カ月、朝日新聞ソウル支局に勤務した。激動の朝鮮半島情勢、国交正常化以来最悪と言われる日韓関係について語った。(矢野宏)

武田さんは「特派員には、任地の政府や国民が何を考えているのか、なぜそう考えるのか、相手を知る姿勢が何より求められます。日本と任地国との関係が悪い場合は、なおのこと。相手の姿を客観的に知り、議論のたたき台として伝えることが、回りまわって日本の読者の利益になると考えています」と切り出し、特派員時代を写真とともに振り返った。

武田さんが最初に書いた記事は「朴槿恵(パク・クネ)大統領逮捕でした」。のべ1600万人もの市民が退陣を求めた「ロウソク革命」を背景に、朴前大統領は韓国史上初めて弾劾・罷免され、17年3月31日に財閥のサムスンからの巨額収賄容疑などで逮捕された。

「朴前大統領は2審で懲役25年・罰金200億ウォンの実刑判決を言い渡されましたが、大法院がその判決を破棄。『賄賂の認定の幅が狭すぎる』として高裁に審理を差し戻したため、もっと重い刑が下されると思います」

大統領選が始まり、進歩系の元弁護士、文在寅(ムン・ジェイン)氏が同年5月10日、大統領に就任。「就任1カ月後の支持率は78・9%あり、韓国の多くの人たちが新しい政治が始まると期待していました」

ところが、その年は北朝鮮が大陸間弾道ミサイルの試射実験や核実験を繰り返した。トランプ大統領は9月の国連総会で「北朝鮮を完全に破壊するほか選択肢はない」と演説。原子力空母を朝鮮半島周辺に派遣するなど、米朝関係が一触即発になった。18年のピョンチャン冬季五輪の開催が危ぶまれたが、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が新年の辞で「代表団を送る用意がある」と表明。妹の金与正(キム・ヨジョン)氏を送ったことで、南北関係は一転、対話ムードになる。

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