現代映す老夫婦の日々 映画「ぼけますから、よろしくお願いいたします。~おかえり お母さん」3月25日から全国公開

映像ディレクター信友直子さん(60)のドキュメンタリー映画「ぼけますから、よろしくお願いいたします。~おかえり お母さん」が3月25日から全国公開される。2018年に公開され20万人以上を動員したヒット作「ぼけますから、よろしくお願いいたします。」の続編。前作で取り上げた父と母の老老介護の日々を、一人娘である信友さんのカメラで丹念に追った記録だ。(新聞うずみ火 栗原佳子)

「大切な人を思いながらみてほしい」と信友監督=3月8日、大阪市北区のシネリーブル梅田

信友さんは広島県呉市出身。東京から実家に帰るたび、年を重ねていく両親の日常をホームビデオで撮影していたという。そんな中、少しずつ母の文子さんに認知症の症状があらわれ、父の良則さんは介護と家事を担うようになっていく。2人暮らしの両親を描いた前作は、認知症や老老介護という現代社会を投影し、幅広い世代に共感を呼んだ。

呉での公開を目前にした18年9月、89歳の文子さんが脳梗塞で倒れた。毎日手押し車を押し1時間かけて面会に通い97歳にして筋トレを始めた良則さん。文子さんも懸命にリハビリに励むが、3カ月後、新たな脳梗塞が見つかり寝たきりに。新型コロナで面会もままならない中、延命治療や看取りに向き合う家族の姿を描き出す。

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実の娘としての立場とドキュメンタリー監督という二つの立場で葛藤しながらの撮影だったともいう。「自分の大切な人のことを思いながら観てほしいです。その人との絆をより深める手助けになれば」

関西では4月1日からテアトル梅田シネマート心斎橋などで上映。

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