宮古島・奄美大島 南西諸島 進む基地開設

「防衛の空白を埋める」などとして政府が南西諸島で進める陸上自衛隊の配備計画。3月末には宮古島と奄美大島に新しい基地が開設された。現地を取材した。(栗原佳子)

クリーム色の外壁と赤瓦の屋根。3階建ての真新しい隊舎が並ぶ。カーキ色の軍用車両とカラフルな滑り台などの遊具。催し物があるのか、多数の家族連れの姿があり、和気あいあいとした雰囲気がフェンス越しにも伝わってくる。

3月26日に開設された沖縄・宮古島駐屯地。警備部隊380人が先行配備され、今後、地対空・地対艦ミサイル部隊も配備され800人規模になるという。駐屯地は一部が完成しただけで、敷地のあちこちで工事が続く。ゴルフ場跡地の22ヘクタール。細い道1本隔て、住宅や畑が近接している。

政府は10年の防衛大綱と中期防衛力整備計画で、海洋進出を強める中国を「地域・国際社会の懸念事項」と位置づけ、南西地域の防衛力強化を打ち出した。14年には与那国島、宮古島、石垣島、奄美大島への部隊配備を明記。15年秋、防衛省は宮古島市にも正式に配備を打診した。保良地区には弾薬庫と射撃場を計画しているが、住宅にも近く、地元は大反対している。

ゲート前では「ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会」の清水早子さんら数人が抗議活動中だった。この日は4月20日。ボードには「監視行動531日」とあった。一昨年10月の着工以来、工事車両が出入りするゲート前で有志が抗議・監視を続けている。情報公開や専門家による調査なども重ねながら防衛省の虚偽の説明をいくつも暴いた。

「住民を欺き、住民や労働者の人権も侵害しながら『住民を守るため』と言われても信じられるはずがありません」と清水さん。

敷地内には辺野古のような「軟弱地盤」があることも明らかになった。100トンタンク7基を埋設したエリア。空洞のある地層もあり、断層も走る。もし何かあれば、飲み水の全てを地下水に依存する島だけに影響は計り知れない。

1

2 3

関連記事



ページ上部へ戻る