新型コロナが病院直撃「医療現場崩壊招く 経営危機」

しかも、発熱患者を受け入れたことで、「あの病院はコロナが出たらしい」など風評被害もあった。
田端理事長は「このままだとコロナ患者はもちろん、発熱患者すら『受け入れない方がいい』と考える病院関係者が増えるでしょう」と指摘する。
「発熱外来を受け入れて院内感染になったら、その病院は浮上できなくなるほどのダメージを受けます。外来も救急もすべてストップし、2週間から1カ月は病院機能が停止してしまうのですから。特に民間病院は厳しいです」

第2派対応に懸念

政府は、コロナの重症患者の入院治療を行った病院などを対象に、診療報酬を通常の3倍(最大約43万円)に引き上げた。6月12日に成立した第2次補正予算では1床あたり1日最大約30万円の「空床補償」を設けたが、いずれも対象はコロナ専用病棟。同仁会では現在、雇用調整助成金の申請を準備しているというが、これとて経営悪化に歯止めをかけるものではない。

新型コロナの感染拡大の前から医療機関を取り巻く環境は厳しかった。診療報酬の抑制と人口減少で、経営は悪化の一途をたどっていた。

帝国データバンクによると、昨年1年間に倒産した医療機関は45件と、2010年以降で最多となった。

収益を出さなければ職員の給与を上げられず、設備投資もできず、患者への対応がおざなりとなり、経営はますます苦しくなるという悪循環に陥るケースも少なくない。

私たち患者は健康保険により、3割負担で医療を受けることができ、残る7割は健康保険組合などを経由して国が支払う。これが診療報酬だが、国は膨れ上がる社会保障費を抑制しており、医療や介護業界では収益減が続いてきた。

田端理事長は「医療に対する補助もなく、このままの経営状態が続けばコロナの第2波に対応するのは難しくなるでしょう」と指摘し、こうも言い添える。
「2カ月で1億円を超える赤字となり気が遠くなりそうですが、こんなことで地域の財産をつぶしてなるものかと、頑張ります」

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