京アニ放火殺人事件 容疑者の足跡を追う

京都アニメーションでの放火殺人の実行犯、青葉真司容疑者(41)は重体で京都府警の聴取も進まない。お盆に男の足跡を大型バイクで追った。 (ジャーナリスト 粟野仁雄)

台風10号の突風に用心しながらCB1100で圏央道を走って茨城県西部の坂東ICを降りて水田地帯を南下した。目指したのは、現在、別の男性と再婚している、青葉真司容疑者の母親のTさんだ。立派な一軒家は不在だった。「あの事件以来、戻ってこないですよ。ずいぶんとマスコミさん来ましたよ」とは隣家の女性。取材陣が押し掛けたために周囲の人は知ることになる。近所の若い男性は「あんな事件を起こされたら戻れないでしょう」。離婚後も青葉容疑者はTさんを頼っており、家賃を立て替えていた時期もあった。しかし強盗事件で縁を切ったらしい。強盗事件から3年。世を震撼させる大事件を起こしたのが、腹を痛めたわが子と知ったTさん。どんな思いだろうか。

青葉容疑者は1978年5月、さいたま市緑区で生まれた。二つ上の兄と一つ下の妹がいた。Tさんは市内の幼稚園で調理師として働くうち、園の送迎バスの運転手だった、かなり年上で妻子のあるSさんに見染められ結婚した。世にいう駆け落ちだが、3人の子宝に恵まれながらも青葉容疑者が小学5年の頃に離婚する。筆者は同級生を探せなかったが、「週刊新潮」によれば、小学校の同級生は「自宅はゴミ屋敷。貧乏そうで服はいつも同じだった。クラスでも浮いた感じだった。コンビニとかでの万引きに誘われて驚いた」などと話している。

とはいえ近所では「明るい子供だった」という声も聞いた。長身で体格もよい青葉容疑者は小学校時代に柔道教室に通った。だが、ここで今も柔道を指導する弁護士は「当時、青葉真司君を指導していた先輩らに聞いたが、あまり記憶に残る特徴的な子ではなかったようだ」と話す。東浦和中学では柔道部に入った。週刊新潮によれば、柔道部仲間は「稽古熱心だったがあまり強くない。反則技が多くて部員と揉めることが多かった」などと話している。しかし、突然消えるように市内の別の中学に変わった。同じ緑区の別のアパートに転居して父と妹と3人で暮らすも、次第に登校しなくなる。

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