安倍政権が徴用工問題の報復措置として対韓輸出規制強化に踏み切ったことに端を発し、日韓関係は悪化の一途をたどっている。在日コリアンの人権問題などに取り組む「コリアNGOセンター」事務局長の金光敏(キム・グヮンミン)さん(47)は8月半ばに韓国を訪れ、政府関係者らと意見交換を重ねてきた。もつれた日韓関係を解きほぐす手立てはあるのか。大阪・生野コリアタウンの一角にある事務所で話を聞いた。(矢野宏、栗原佳子)
安倍首相は8月6日、広島市内での記者会見で「韓国には日韓請求権協定をはじめ、国と国との関係の根本に関わる約束をきちんと守ってほしい」と発言、日韓請求権協定を順守しない限り文在寅大統領との会談にも応じないという強硬姿勢を打ち出した。
そもそも、安倍政権が主張する「日韓の根本に関わる約束違反」とは何なのか。
一つ目は昨年10月、日本の最高裁にあたる韓国大法院が「従来の政府見解を覆すような判決を出した」こと。二つ目はその判決で「日韓請求権協定で解決済みとされた個人の請求権を認定」したこと。三つ目は「日本政府が日韓請求権協定に基づく『仲裁委員会』の設置を求めたが、期限までに回答しなかった」こと。
それぞれ、金さんに見解を尋ねた。