松井一郎大阪市長に送った提言書で送った市立木川南小学校前校長の久保敬さん(60)は4コマまんがという「特技」の持ち主でもある。3月末の定年退職に合わせ出版した「「フツーの校長 市長に直訴! ガッツせんべいの人権教育論」(解放出版社)に先立ち、4コマまんが集「ガッツせんべい」の復刻版も発刊した。(新聞うずみ火 栗原佳子)
久保さんが「ガッツせんべい」のタイトルで4コマ漫画を描きはじめたのは1999年から6年間務めた地域人権教育推進委員会の事務局に勤務していた時代だった。市教育委員会が教職員の人権教育強化のため誕生させた組織で、久保さんは北区・淀川区・東淀川区の担当。管内の教職員に向けたニュースレター「じんけん」発行も担当したが、どうしても「人権」=「難しい」というイメージ。そのハードルを下げたいと思いついたのが、小学生時代、友達と見せ合って遊んだ自作の4コマまんがだったという。
「ガッツせんべい」は児童が命名した久保さんのニックネーム。自分の分身を主人公にした4コマまんがで「これってどうなん?おかしくない?」という投げかけができたら、誰かを不快にすることなく問題提起ができるんじゃないか」と思い描き始め、2004年には100回掲載を記念して第1集、07年には第2集と冊子にした(大阪市人権教育研究協議会発行)。4コマまんがに短いつぶやきを添えて子どもや学校や社会を描くスタイルは鋭くも温かくファンも多い。08年からは月刊誌「ヒューマンライツ」(部落解放・人権研究所)で連載を続けている。
昨年5月、久保さんは大阪市長に宛て教育行政の在り方を記した「提言書」を出し、その後文書訓告処分を受けた。そんな中で、かつて一緒に人権教育に取り組んだ元教師らが久保さんへのエールを込め、復刻版を発行することになったという。1集、2集の中から110篇が収められている。
参考記事:大阪市長への提言で処分、久保前校長が本出版「フツーの校長、市長に直訴」(上)
発行は一般社団法人ひとことつむぐ。一冊500円。問い合わせはひとことぐむぶのFacebookか、HPで。