「夢洲整備で大阪は破たんする」立命館大の森教授がズバリ カジノ住民投票25日締め切り

カジノを含むIR=統合型リゾート施設について、大阪府・市が国に提出した区域整備計画が受理された。府・市がカジノ事業者と契約した基本協定書を精査した立命館大の森裕之教授(地方財政論)が「カジノ、夢洲整備で大阪は破たんする」と題して講演、「夢洲整備は大阪市の史上最大の財政リスクとなる」と訴えた。(新聞うずみ火 矢野宏)

 

全国各地に広がる反戦集会やデモ

 

4月24日に夢洲に入った森さんは、土砂の埋め立てが急ピッチで進む様子を写真で紹介。「ごみを埋めるための人工島なのに、新しい土砂を買ってきて埋め立てています。汚染土壌が見つかるたびに掘り起こし、埋め直さなければならない。まさに税金の無駄遣いです」と指摘した。

 

夢洲整備のコストについて、森さんは一言。「想像がつきません」と切り出し、こう説明する。担当部局の大阪港湾局が把握している1141億円には、IR予定地の対策費788億円が入っていない。阪神高速道路淀川左岸線工事についても、土壌汚染対策費などで1756億円(一部国が負担)かかるほか、1000億円の増額が見込まれている。

また、大阪メトロ延伸部の地中障害物撤去などで96億円、夢洲駅の施設整備などで63億円かかる。「現時点でわかっているだけでも大阪市の負担は4000億円を超えます」という森さんだが、市の財政負担はさらに膨らむという。

 

まず、基本協定書でカジノ事業者と交わした788億円の債務負担行為(後年度に自治体が財政負担する予算を約束すること)。通常の公共事業では自治体がより安く抑えるため入札が義務づけられているが、今回はカジノ事業者との「随意契約」だから適正価格で事業が行われる保証はないという。

「カジノ事業者が『できるだけ安くして』なんて言うわけがない。費用は大阪市がすべて出してくれるのだから、自分たちが関係する業者を選ぶはず。『なんぼでも出したるわ』となり、大阪市の公金はどんどんカジノ関連企業に流れていくでしょう」

 

夢洲はごみの島。土壌改良費は青天井

 

 

さらに、夢洲整備の土地課題の対象は、地中障害物撤去、土壌汚染、液状化の三つなのに、基本協定書の中には地盤沈下対策費も含まれており、大阪市が負担することになっているという。「夢洲は超軟弱地盤で、地盤沈下に加え、液状化が生じた場合は技術的にも未知だとされています。1本1億円ほどの杭をいくら打っても建物の安全は担保できません」

 

森さんは言う。「これまでに経験のない地盤沈下対策に膨大な土壌汚染対策、カジノ事業者への土地課題対策事業などの夢洲整備は、大阪市にとって史上最大の財政リスクとなるでしょう。そのツケは府民や市民にとって必要な公共サービスや公共事業の削減となって顕在化するではないでしょうか」

 

関連記事



ページ上部へ戻る