人類にとっての本当の「敵」はゴジラではなく核兵器であり、戦争であることを見抜いていた宝田さんだ。略奪・暴行の限りを尽くし、自身に瀕死の重傷を負わせたソ連という国を憎むのではなく、そうした状況を作り出した戦争そのものこそ許せない存在であると考えていたに違いない。
宝田さんが、和歌山での講演会を実施したメンバーに贈ってくださった色紙には「不戦不争」と書かれていた。
平和を守るための大前提だ。
ロシアによるウクライナ侵攻を受けて、国内でも核共有や敵基地攻撃能力の保有、そして憲法改正などの声が出始めている今の日本を、宝田さんはどう思われただろうか。宝田さんが作詞した「私の願い」の一節を紹介しよう。
戦争となれば人は憎しみが増してゆく
それをぬぐい去ることはもうできない
それを止めるのは私たちの一人一人のちから
それを止めるのは私たちの果たすべき使命
(和歌山信愛女子短期大学副学長・和歌山県平和委員会代表理事)
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