大阪市立高校が府に移管 無償譲渡差し止め訴訟で原告敗訴(下)

原告代理人の豊永泰雄弁護士は記者会見で「残念で、不当な判決。市財産条例16条の適用は否定した、議決は必要としながら、審議の実態から議決があったのと同じだというのは、訴訟に先立つ監査結果の結論から一歩も出ていない。議会運営のルールに反した判断で、議決を盗まれたかのように感じる」と怒りをにじませた。

判決後、支援者に判決内容の説明をする原告代理人=3月25日、大阪市北区

原告で市立工芸高校卒業生の石田肇さんは「大阪市だけの問題ではなく、今後の自治体や自治という問題で大きな禍根を残す判断。他の市と都道府県との問題が起きた場合の悪い事例を残したと思う」と批判。同じく原告で市立生野工業高校卒業生の綱島慶一さんは「判決は移管が教育目的であるかのように言っているが、すべて後付けで必然性はない。市民の財産と権限を守らなければいけない市長が無茶苦茶をしている。アカンものはアカン。残念な判決だったが、こんな筋が通らないことを許してはいけないと、ますますファイトが湧いてきた」と力強く語った。

参考記事:大阪市立高校が府に移管 無償譲渡差し止め訴訟で原告敗訴(上)

原告でフリージャーナリストの幸田泉さんは「住民監査請求と同じく、市財産条例16条を使って市長の裁量で巨額寄付をすることが否定されたのは唯一の成果といえる。今後、市財産条例16条を使って府に寄付するというやり方はできなくなると思う」と指摘した。

控訴審は損害賠償などを求めていく方針だという。豊永弁護士は「財産が移転してしまうと元に戻すのは非常に難しい。大阪市の財政規律は非常に緩くなっており、IRの問題でも、大阪市が大阪府の事業の『財布』のように使われる現状がある。大阪市の未来を占う意味でも、差し止めが認められなかったことは大阪市に深刻なダメージを与えると危惧している」と懸念を示した。

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