不法に在留する外国人の収容などを見直す出入国管理及び難民認定法(入管法)改正案について、衆院法務委員会での採決が見送られた。しかし、政府・与党は今国会中に成立させる構えだ。
日本では、在留資格のない外国人に対して厳しい入国管理を取ってきた。紛争地などから避難した難民、日本に家族ができた外国人にも在留許可を与えず、「犯罪者」扱いしている。収容されると、期間に上限はない。いつ解放されるかわからない。劣悪な入管施設に長期間収容されたことで自殺や病死に追い込まれた外国人も少なくない。
2019年6月に長崎県の大村入管で長期収用に抗議してハンガーストライキ中だったナイジェリア人男性が餓死。今年3月には、名古屋入管に収容中のスリランカ人女性が体調不良を訴えながら、適切な医療を受けさせてもらえずに死亡している。
今回の改正案は、国外退去命令を受けた外国人が入管施設に長期間収容されることを解消するのが狙いというが、弁護士や人権団体は「個別の事情を考慮せず、一律の厳罰化は人権の観点から問題がある」と批判している。
まず、退去命令に従わない外国人に刑事罰(退去強制拒否罪)が適用されること。人道的に支援する弁護士や市民が共犯とされ、逮捕される可能性も考えられる。
二つ目が、難民申請を3回以上行った人を自国に強制送還できるようになること。現行では難民認定の申請は何度もでき、申請している間は強制送還されない。だが、改正案では難民申請ができる回数を原則2回までとし、3回目の申請から相当の理由がなければ強制送還の対象となる。日本の難民認定率は2019年で0・4%。アメリカ29・6%、ドイツ25・9%と比べて桁違いに低い。入管問題に詳しい弘川よしえ弁護士は「3回目以上の難民申請者の送還を合法することは、難民条約にも違反する」と指摘する。
参照:クーデターから3カ月 神戸でミャンマー人ら350人が抗議集会
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