福島第一原発の敷地内には、1044基のタンクがあり、123万トンの「処理水」が貯蔵されている(9月17日現在)
処理済み汚染水には何が含まれているのか。ALPSでも取り除くことができないのがトリチウムだ。
「トリチウムは陽子1個、中性子2個で構成され、重量が水素の3倍あることから『三重水素』と呼ばれています。化学的性質が水と同じなので、ALPSでも除去できないのです。放出する放射線のエネルギーが小さく、人体への影響もセシウム137の100~1000分の1と見積もられています。施設からの排出基準が甘く、日本の場合は『1㍑あたり6万ベクレル』です。ちなみに、アメリカが740ベクレル、EUが100ベクレルと比べても極端に甘くなっています」
現在のタンク計画では、2022年夏ごろには満杯になる見通しで、政府が「処理水を薄めて海へ放出する」方針を27日にも決定すると各メディアが報じたが、先送りされた。
海洋に放出しても大丈夫なのか。今中さんは「放出するとしたら1000分の1ぐらいまで薄めることになるでしょうが、それでも安全とは言えません。トリチウムはDNA中の水素とも置き換わるので、DNAをはじめ細胞が損傷されます」と警告する。
ALPSはトリチウム以外の放射性物質を取り除くことができるとされたが、ヨウ素129やストロンチウム90などの核種も基準を超えて残存することも明らかになっている。