「大阪市廃止は危ない」学者の会がシンポジウム

京都大の川端祐一郎助教(公共政策論)は、「『都構想』は二重行政のムダをなくす『改革』と言いながら莫大なコストがかかるなど、『改革』そのものが『壮大なムダ』になるのではないか」と指摘。「歴史的に積み重ねてきた有形無形の資産を手放すことの危険性を考えるべきだ」と呼びかけた。

阪南大の桜田照雄教授(経済学)は、維新の唯一の経済政策がカジノ・IR(統合型リゾート)だとし、「バブル崩壊から30年間で急成長したのが観光産業で、なかでも注目されたのがカジノだった。だが、ギャンブルをビジネスにするのは、地方自治体の責務である『公共の福祉に反しない』という要件を充たしていない。しかも、コロナ禍でカジノというビジネスモデルそれ自体がもはや成立しない。『都構想』は大阪市民の将来を危うくする」と警告した。

防災学の第一人者、京都大の河田恵昭名誉教授は、4特別区の区割りに疑問を投げかける。「近い将来、南海トラフ地震・津波が発生したら、大阪市内で12万人もの死者が出ると言われている。大阪湾に面する新淀川区や新中央区を中心に甚大な被害が起こる。被害が同じようになるように分けなければならなのに、こんな不平等な区割りを認めるわけにはいかない。それもこれも、大阪市議会が地震や津波対策を置き去りにしているからで、『都構想』は未熟な案だ」と憤った。

学者の会には、「都構想」が市民の暮らしなどに及ぼす危険性を、様々な視点から明らかにしている学者たち110人からの所見が届いている(10月4日現在)。

また、告示前日の10月11日には大阪市浪速区で「都構想」の危険性を明らかにする記者会見を行う。

 

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