短大新入生に犯罪被害者講演 前向いて生きる大切さ

復讐の念乗り越え

加藤さんは「全国犯罪被害者の会」(あすの会)に入会し活動。18年6月に解散した後も全国各地で講演活動を続けている。
特に、犯罪被害者への支援制度はまだ十分ではないと指摘し、経済的な支援を呼びかけている。
「犯罪の被害を受けた人は、犯罪によって傷つけられるだけでなく、事件解決後も様々な問題を抱えることになります。例えば、父親が殺された母子家庭はたちまち生活に困窮してしまい、子どもの進学にも影響が出てくる。犯罪被害のために、転居しなければならないこともあるのです」
一人でも多くの人を救いたいと思えるようになったのは知人の一言がきっかけだった。「加害者を許さないという父親の復讐を、娘さんは喜んでいるのかな」
それまで憎しみを持ち続けてきた加藤さん。ふと、娘のことを思い浮かべ、気づく。「そういえば、みさが人の悪口を言うのを聞いたことがない。『お父さん、敵を討って』と言うだろうか……」
加藤さんは学生たちに向かってこう訴えた。「私はこれまで多くの人に助けられて生きてきました。こんな悲しい被害者をなくすためにも、加害者を生まない社会を作ることが大事です。自分の命が尽きて天国の娘と再会したとき、『お父さん、頑張ったね』と言ってもらえるよう頑張りたい」と講義を締めくくった。
講義を聴講した学生からは「自分の命は自分のものだけではないと感じた。親を悲しませたくないと強く思った。死ななければ何でもできる。何事もいっぱい勉強して、全力を尽くしていると感じ、今まで以上に頑張ることができるのではないか、もっとできると思えた」「私は今までに何度か自殺を考えたことがあったが、特別講演を聞いて、今を一生懸命生きようと思った。私を支えてくれる家族、恋人、友人、周りの人々を大切に、感謝の気持ちを忘れずに、『当たり前』だと思わずに生きていこうと思った」などの感想が寄せられた。

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