原発事故9年 今中さん講演 後始末は百年計画

福島第一原発の周辺用地を中間貯蔵施設にという法律が14年にできた。30年たったら県外の最終処分場に持っていく、とある。あるはずないのに。結局は私が50年間眺めてきた原子力行政の典型だ。

福島第一原発の廃炉もそうだ。工程表では40年か50年で完了とある。原子炉建屋の燃料プールに残った使用済み燃料の取り出しは何とかなると思う。だが、壊れた原子炉からの燃料デブリ取り出しはまだ現場検証が始まった段階だ。

汚染水は地下水が1日約160トン入ってくるため毎日増え続けている。400億円かけた凍土壁は一応動いているようだが、少しは減った程度。結局毎日約100万トンのトリチウム水がたまり、困った困った、海に捨てようという話だ。

不思議なことに「トリチウムは安全だから捨ててもいい」と専門家も言う。

確かにトリチウムの許容濃度は甘いが、許容濃度があるのは危ないから。今ある汚染水は1リットルあたり100万ベクレルのトリチウム。原子力等規制法で海に出していい濃度は1リットルあたり6万ベクレル。許容レベルの60~70倍くらいの濃度。安全だから出すのではなく、薄めて許容濃度を「以下」にして出すという話だ。トリチウムは水と科学的な性質が一緒なので処理できない。結局、千トンのタンクが千個。100万トンくらいが敷地内にある。あと2年くらいで建てる場所がなくなるという。

もう福島第一原発からこれ以上余計な放射能を出すなといいたい。トリチウム水はコンクリートで固めて大きなモニュメントにしてしまえと思う。あるいは石油備蓄基地のような巨大タンクを作る。トリチウムだけなら半減期12年。120年で1000分の1。240年で100万分の1になる。それくらいのスパンで考える話だと思う。

放射性汚染物は基本的にすべて東電に引き取らせるのが原則。そして「40年で廃炉」は全くのインチキスローガンだからだまされないでほしい。必要なのは100年、200年を見据えた後始末計画を作り、次世代に負の遺産として引き継いでいくしかないということだと思う。

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