ゆえに日本から技術移転されず韓国産業は下請け化してしまう。地下鉄のメンテナンスも日本企業が請け負った。長年にわたり経済的に依存する上下関係ができ上がった。
三つ目の仲裁委についてはどうか。金さんは「韓国側がこの求めに応えられるわけがない」と答える。
「そもそも慰安婦問題などで仲裁委設置を求めてきたのは韓国であり、日本側はことごとく蹴ってきた。日本が要請したのは今回が初めて。しかも日本側が求めるのは『大法院判決を何とかしてほしい』ということ。つまり『判決の内容を行政権で歪めてほしい』ということに他なりません」
金さんは8月10日から4日間、韓国で大統領府の政策実務者や国会の立法調査処の日本政策担当者、また外交部(外務省)のシンクタンクで対日政策研究者と意見交換を重ねてきた。「会った人たちは皆、苦しんでいました。日韓関係は重要であり、これ以上悪化させてはいけないと言うのですが、打開策を探し出せていないのが実情。一方、彼らは、日本に対抗すべきだという世論の高まりを心配しています。それだけ韓国政府が選択できる政策の幅が狭まって来るからです」
文大統領も、光復節の演説で徴用工問題などには触れず、東アジアのパートナーという基調を崩さなかった。