京都アニメ放火殺人 若者の夢奪った凶行

警官の「何したんだ。どうしてそんなことした」や、青葉容疑者の「パクりやがって。

ガソリンまいてチャッカマン(多目的ライター)で火つけた。チャッカマンは投げた」などが聞こえたそうだ。「京アニに恨みがあるような言い方もしてたけど息遣いはとても苦しそうでした」。
女性は「京アニさんはクオリティの高い作品を作れる優秀な子ばかりと聞きます。日本の財産が失われた気持ちです」と悔しがった。
青葉容疑者は、スタジオから500㍍ほど西のガソリンスタンドで「発電機に使う」と20㍑の携行缶二つにガソリンを購入し、台車で運んでいたとみられる。
筆者も大型バイクに入れるため、神戸で時折、携行缶で買うが最初に運転免許証をコピーされ、その後はサインして買っている。大阪のビデオ店やパチンコ店でガソリンによる放火で多数の犠牲が出たことから、規制が強まったが、自治体によって異なり、京都は緩かったようだ。
青葉容疑者は病院で意識不明に陥り聴取ができないが、警官に「小説を盗みやがった」と話したという。「パクられた」とは剽窃のことなのか。京アニでは小説も募集しているが、容疑者の応募した記録はない。今のところ、小説などを書いていたという情報もない。
犯行時はさいたま市在住だが、茨城県にも住んでいた容疑者はアパートでも近隣トラブルが絶えず、コンビニ強盗事件を起こして懲役刑に服役していた。精神疾患の可能性もあるという。これは報道で見ただけだが。容疑者に騒音発生源と勘違いされた男性が説明すると「うるせえ」「殺すぞ」「余裕ないんだ」などと胸ぐらをつかまれて凄まれたという。青葉容疑者は県庁の非常勤職員として文書集配などをしていたがやめてしまったらしい。

容疑者は犯行の数日前に京都入りして準備していたようだ。
事件3日前に宇治市のホームセンターで台車と携行缶、ライターなどを買っていたことが防犯カメラから判明。リュックに入っていた包丁数本やハンマーは別の場所で入手したらしい。事件前日には近くの公園のベンチで寝ているのを目撃されている。行ってみるとベンチは高架下で雨もしのげる。
前述のエステサロンの女性によると、前日に知人女性が容疑者とみられる人物と遭遇したが「目つきも変だった。異様な雰囲気で怖かった」と話していたという。

容疑者は京アニに勤務していた経歴はない。八田英明社長は「数年前から死ねとか、殺人(予告)メールみたいなのが会社にもあった」と話すが、「青葉容疑者の名は聞いたことがない。41歳というならわからないはずはないが」と首を傾げる。青葉容疑者は警官に確保される時に「社長を出せ」と叫んでいる。ならばなぜ、一駅離れた宇治市の本社に行かなかったのか。本社とスタジオが離れていることも知らなかったのか。それでも、普段は施錠している工場の玄関が、この日は来客のために開放されていたことを知っていたのだろうか。

青葉容疑者は20日に京都の赤十字病院からやけど専門の治療施設がある近畿大学付属病院(大阪府狭山市)にヘリで運ばれたが、「犯人の意識不明は麻酔の投与のし過ぎでは」という噂まであった。

22日現在、容体はまだ予断を許さない。一方、犠牲者の名前もまだ公表されていない。遺体の損傷が激しいためにDNA鑑定が必要なのだ。

植田秀人本部長が現場を訪れた20日、京都府警は建造物放火と殺人の両罪容疑で逮捕状を取ったが、23日現在、執行できないままだ。府警は「事件の重大性に鑑みて」として、逮捕しないうちに青葉容疑者の名を公表するという事件史上でも異例の措置を取った。(ジャーナリスト 粟野仁雄)

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