旧真田山陸軍墓地 保存へようやく動き

問題は劣化。朽ち果て傾いたり、表面がはがれたりして文字の判別が難しい墓碑も少なくない。小田さんら「保存を考える会」は2001年の結成時から、保存整備について大阪市や国に申し入れを行い、史跡・文化財として認定するよう求めてきたが、それがここにきて一気に動き出しているという。

きっかけは昨年9月、大阪を直撃した台風21号。倒木になぎ倒されるなどして50以上の墓碑に被害がでた。所有者の国と管理者の大阪市の役割分担が明確でないことから複数のメディアが「国と大阪市が補修費用の負担を巡り綱引きを演じている」などと報じた。これに対し、大阪市の吉村洋文市長(当時)は整備の予算を計上するとともに「国が責任を持って国立墓地として管理すべき」と要望した。その後、国は、全国の旧陸軍墓地について、5年間で5億円の予算を組む方針を示している。

20年近く要望を続けてきた「考える会」にとって補修は大きな前進だが、手放しでは喜べない面もあるという。

例えば市長が昨年11月に出した要望書。「埋葬者について『日本国民の生命財産を守りその使命を果たすために殉じた方』と強調しているのですが、一面的に美化するのは疑問。ここには捕虜も含め多様な死があるわけです。『子どもたちが生きた近現代史に触れて平和を誓う場にしたい』というのなら、近代日本の戦争や支えた軍隊についての批判から目をそらしてはならないと思います」と小田さん。

大阪維新の会の国会議員がHPで「成果」とうたうなど、政治的な色彩が付きまとうのも懸念材料。小田さんは「いまこそ保存はどうあるべきかという方向性が問われています」と話している。(栗原佳子)

 

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