大阪IR誘致に「反対」相次ぐ 大阪府・市公聴会

大阪府と大阪市は1月28日、大阪湾の人工島・夢洲(ゆめしま)に誘致を目指すカジノを中核とした統合型リゾート(IR)の整備計画案の公聴会を市内で開いた。(矢野宏)

府と市は整備計画案について説明し、参加者の質問に答える住民説明会を1月7日から計11回、府民から公募した公述人が整備計画案について1人5分以内で意見を述べる公聴会を1月23日から計4回開催している。

公聴会は「IR実施法」に基づく手続きで、府民と府内に通勤・通学している人が対象。3回目となるこの日は、11人の公述人が口頭や文章でIRについて意見を述べた。

「万博は一過性のイベントだが、IRは継続的。カジノのほか、展示場や会議場などの経済施設をIR事業者につくってもらえる。大阪や関西の活性化に寄与するもの」と賛成したのは一人だけ。11人中10人の公述人がIR誘致に反対する意見を述べた。

「カジノとIRは一心同体。カジノは悪いがIRはいいと分離できるものではない。賭博場をIRというオブラートで包んだものだ」「夢洲の汚染土壌対策などの費用が約790億円と報じられたが、さらに増える可能性がある」「こんなちっぽけな公聴会で府民の声を聞いたとはいえない。住民投票で堂々と府民の声を聞くべき」

人情のある大阪市が好きで10年前に引っ越してきたという70歳代の女性は「ギャンブル依存症で苦しんだ身内がいる」と切り出した。「親や身内が借金を肩代わりさせられた。本当に大変でした。ギャンブルは人の心、家族、仕事を奪ってしまう恐ろしいもの。計画案を再考してほしい」

府と市は2029年にIRの開業を目指している。公聴会での意見を計画案に反映させ、2月から始まる府・市両議会に提出。同意を得た後、4月下旬ごろ国に申請する方針だ。

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