◆暴力的な維新発言
ヒトラーになぞらえて批判することは、国際社会では許されないのか。
木戸さんは「許されないのは、ヒトラーやナチス・ドイツを正当化したり、美化したりすることで、比較することはまったく問題ありません」と否定し、こう言い添える。
「ナチスに象徴されるのは、いかにも国民の側に立って世の中を変えると見せかけた『疑似革命』と、テロや動員の正当化です。橋下氏も維新も似ています。民衆の味方だとふるまい、世の中を変えると言いながら、人間の尊厳と人権、民主主義を唾棄している。あることないこと織り交ぜ、巧みな弁舌というより、暴力的な言葉を使って相手を黙らせる。ヒトラーはこうも言っています。『私は独裁者ではない。民主主義を簡略化しただけだ』と。暴力で相手を負かしていく手法から、ヒトラーを思い出すというのは理由があるのではないですか」
維新副代表の吉村洋文・大阪府知事が「国際法上あり得ない。どういう人権感覚をお持ちなのか」(1月24日)として、立民に謝罪を求める考えを記者団に示したことに、木戸さんは「何を根拠に言っているのかわからない。該当する国際法があるというのなら、具体的に示すべきだ」と指摘する。
また、維新代表の松井一郎・大阪市長が26日の記者会見で「言ってはならないヘイトスピーチだ」と不快感を表したが、木戸さんは言下に否定する。
「ヘイトスピーチとは国籍や民族など特定の属性に対して差別を助長したり誘発したりする目的で集団をおとしめる差別言動のこと。維新が問題視している発言は政治的論評に過ぎないし、立民たたきに利用しているだけ。ヘイトスピーチと同列に語るなど論外です」
木戸さんは、16年に沖縄・高江での米軍ヘリパット建設工事で大阪府警の機動隊員が発した「土人発言」を取り上げ、「あれこそがヘイト発言ですが、松井氏は批判するどころか擁護した。多くの在日コリアンや沖縄出身者を抱える大阪市の市長として初歩的な知識すら持ち合わせていないのかとあきれます」