橋下徹氏をナチス・ドイツの独裁者ヒトラーになぞらえた菅直人元首相(立憲民主党)のツイッター投稿が波紋を広げている。ヒトラーを引き合いに出して批判することは許されないのか。ドイツ政治・平和研究が専門の阪大教授、木戸衛一さんに聞いた。(新聞うずみ火 矢野宏)
これまでの経緯を振り返ると、問題のツイートは1月21日に投稿された。
「橋下氏をはじめ弁舌は極めて歯切れが良く、直接話を聞くと非常に魅力的。しかし『維新』という政党が新自由主義政党なのか、それとも福祉国家的政党なのか、基本的政治スタンスは曖昧。主張は別として弁舌の巧みさでは第一次世界大戦後の混乱するドイツで政権を取った当時のヒットラーを思い起こす」(原文ママ)
これに対し、橋下氏は23日の自身のツイッターで「ヒットラーへ重ね合わす批判は国際的にはご法度」と反論し、「まあ今回は弁舌の巧みさということでお褒めの言葉と受けとっておくが。それよりも強い野党を本気で作る気があるなら、大阪では自民に圧勝している維新政治を謙虚に研究すべき」と忠告している。
すると維新が25日の衆院予算委でこれを取り上げ、26日には藤田文武幹事長が立民本部に対し、謝罪・撤回を求める抗議文を提出。謝罪を拒否したことに2月1日、馬場伸幸共同代表がメディアを引き連れて菅氏を訪ね、抗議する。菅氏はまず「橋下氏は維新とどういう関係なのか」と質問。馬場氏が「関係ない」と答えると、「関係がない橋下氏の問題に維新が抗議するのか」と抗議は受け付けない考えを明確にした。
ちなみに、橋下氏は12年6月、当時の民主党政権が公約に盛り込まなかった消費税増税を目指す方針を決めた時、「ヒトラーの全権委任法以上」と発言し、17年2月にはツイッターで京大教授を「お前の顔の方が安もんのヒトラーだろ」などと罵倒している。