重要土地調査規制法 国の「監視」住民懸念

自衛隊や米軍基地、国境付近の離島などの土地利用を規制する「重要土地調査規制法」が6月16日、可決・成立した。対象となる施設など具体的な内容は今後、政令で定めるとしており、特に基地が集中する沖縄からは、政府による恣意的な運用を懸念する声が上がる。(栗原佳子) 法律は政府が安全保障上重要と判断した施設の周辺や国境離島を「注視区域」に指定、土地の利用状況や持ち主を調査できるというもの。「機能を阻害する行為」に対し中止勧告や命令を出し、従わなかった場合は懲役や罰金も科すことができる。
政府は、北海道や対馬の自衛隊基地周辺で外国資本が土地を取得した例を挙げ「住民に不安が広がっている」などと法整備の必要性を強調した。しかし審議ではその具体例も示せなかった。立法の根拠自体が揺らぎ、人権上の懸念も指摘されたが、それでも会期末の未明、強行採決された。 対象施設、調査内容、「機能阻害行為」とは何かなど、詳細は政令で決定されるため安全保障名目で政府が拡大解釈できる余地を残す。米軍基地が集中する沖縄本島、陸自基地建設が進む南西諸島の島々は全域が対象にされかねない。 特に重要とする施設周辺は「特別注視区域」に指定。土地売買に事前届け出を義務付ける。政府は与那国島、宮古島を想定しているという。 宮古島で基地建設に反対してきた「ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会」(仲里成繁代表)は6月19日、抗議の会見を開き、菅義偉首相にあて「施行せず廃止を」と求める声明文を発表した。 「住民が先祖代々受け継ぎ平穏な暮らしを営んできたところに後から軍事基地が押し寄せ、有事には被害を受ける住民を加害者のように扱う」と批判、「基地機能を阻害するかもしれないと監視対象となり、基地に異議を申し立てる行為が『阻害行為』とされ、命令に従わなければ処罰されるかもしれない」と懸念を示した。「全国どこでも国が重要施設だと指定すればあらゆる施設が対象になる。日本の全ての人が対象になる憲法違反の法律」とも指摘した。

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