「れいわ一揆」「おかえり ただいま」

「おかえり ただいま」は東海テレビの斎藤潤一さんが監督、脚本を手がけた。昨年のクリスマスに放映した番組を映画版に再編集した。
2007年8月、名古屋市で、携帯のサイト「闇の職業安定所」で知り合った男3人が帰宅途中の磯谷利恵さん(当時31歳)を拉致、金品を奪い殺害、遺棄した。凶悪な犯行で社会を震撼させた「名古屋闇サイト殺人事件」だ。
量刑を巡っても論議を呼んだ。利恵さんの母、富美子さんは「1人の殺害は無期懲役が妥当」という判例に納得がいかず、全員死刑を求め署名活動に奔走した。一審は2人が死刑、1人は無期懲役。2審では1人が死刑から無期減刑、最高裁で確定した(その後、過去の強殺の余罪が発覚、昨年、死刑が確定)。
作品の前半は母娘の31年を丹念にドラマとして描いた。後半は実写に転換。娘が遺した新居で暮らす富美子さんにカメラが寄り添った。

「事件を風化させたくない」と阿武野さん㊧と斎藤さん

「事件を風化させたくない」と阿武野さん㊧と斎藤さん

斎藤さんは09年に富美子さんら犯罪被害者遺族をテーマに番組を制作した。同じ遺族でも死刑に対する考え方は一様ではなかった。「必ずしも富美子さんが望む番組ではなかったと思う」という斎藤さんにとって、この作品は自身の宿題でもあったという。
作品では、主犯格の男の不幸な生い立ちも描写した。一審で死刑判決。控訴を取り下げ確定、15年に執行された。
プロデューサーの阿武野勝彦さんは「『おかえり』と迎えてくれる家庭が利恵さんにはあり、彼には欠けていた。その2人が社会の中で交錯する瞬間が、こんな悲惨なことになる。死刑制度の存廃より先に、事件が起きない社会というものを見据えていかなければと考えた」と振り返った。
ポレポレ東中野で公開中。全国で順次公開予定。

 

1

2

関連記事




ページ上部へ戻る