徴用工問題 個人請求権は消滅せず

日本政府が韓国に対し、半導体材料などの輸出規制に踏み切って以降、両国関係は悪化の一途をたどっている。日本の対応の背景に徴用工問題があることは明らかだ。安倍首相は元徴用工の請求権について「1965年の日韓請求権・経済協力協定で解決している」と反発、各メディアも韓国批判を繰り返している。朝鮮半島から動員され、過酷な労働を強いられた元徴用工に損害賠償を求める権利はないのか。国際法に詳しい弁護士の永井幸寿さんに聞いた。(矢野宏)

日本が輸出規制を発表したのは7月1日。安倍首相が議長として「自由・公正・無差別な貿易・投資環境の実現に努める」と宣言した20カ国・地域首脳会議(G20)閉幕から2日後のこと。「韓国は国際約束をほごにした。日本もやるべき時はやる」。首相は3日のテレビ番組で徴用工問題が背景にあると明言し、韓国が打開策として示した日本企業の資金拠出案を一蹴した。

輸出規制を発動した4日は参院選公示日。世耕経済産業相は「信頼関係が損なわれた」と説明。「韓国の輸出管理に不十分な点があり、不適切な事案が起きた」と指摘したが、何が不適切な事案なのか示していない。

「解決済みの徴用工問題を韓国側が蒸し返した。判決は国際法に照らしてもあり得ない判断だ」という安倍政権の主張に対し、永井さんは「ありうる判断だ」と反論する。

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