◆「ヘイトスピーチ」と批判封じ
的外れな政治家の「ヘイトスピーチ発言」は、先日死去した石原慎太郎氏の言動を批判した学者や市民にも向けられ、それを支持する声も少なくない。
法政大の山口二郎教授が石原氏の女性や外国人への差別的言動に触れ、「日本で公然とヘイトスピーチをまき散らしてよいと差別主義者たちを安心させたところに、彼の大罪がある」(2月1日)とツイートすると、自民党の長島昭久衆院議員が「こういうのこそヘイトスピーチだ」(同)と批判した。
木戸さんは「一人の政治家が死んで、その行動や発言を検証するのは当然のこと。それをヘイトだとか、死者にむち打つものとか言って黙らせようとする。そんなことは美徳ではない。ましてや石原氏が繰り返した暴言を『石原節』とごまかすこと自体、この国のメディアは堕落していると思う」と批判する。
2月13日、ドイツの大統領にシュタインマイアー氏が再選された。受諾演説の中でロシアのプーチン大統領に向けて「民主主義の力を侮るな」と警告したことに触れ、木戸さんはこう語った。「自由というのは責任を伴う。その重さに耐えかねて、巨大な権力や権威になびいていけば楽で、自分で考えて行動することは面倒くさい。だが、それこそが民主主義の『いろは』。今の日本ではそれを簡単に手放そうとしているのではないか。ヒトラー前夜のドイツを思い起こさせます」