今回の決定について、ポイントは二つだと指摘する。
一つは、伊方原発の近くに活断層が存在するかどうか。 高裁は、中央構造線に関連する活断層が存在する可能性を否定できないと判断。「活断層は存在しない」と結論付けた四電の調査は不十分だと指摘し、それを認めた原子力規制委員会の安全審査についても「過誤か欠落があった」と批判した。
今中さんは「問題の活断層の存在は40年以上も前の伊方訴訟のなかで指摘されていた」と振り返る。「日本中いたるところに活断層があり、活断層を震源とした想定を超えた直下型地震が発生することも考えられます。そもそも地震大国のこの国に54基もの原発をつくったのが間違いであり、再稼働はすべきではない」
二つ目は、火山の噴火の影響についての評価。高裁は、伊方原発から130キロ離れた阿蘇山(熊本県)で大規模噴火が起きた場合の火山灰の噴出量を、四電は少なく見積も過ぎていると指摘した。
今中さんは「原子力研究者として事故が起きたらどうなるのか」をもっぱら研究してきた。事故後のチェルノブイリを訪ね、「原発で大事故が起きると周辺の人々が家を追われ、村がなくなり、地域社会が丸ごと消滅する」ことを学んだ。
しかも伊方原発は佐田岬の付け根にあり、事故が発生すれば約5000人が陸路での避難を断たれ、孤立する恐れがある。今中さんは「事故が起きたら周辺の30キロで人が住めなくなるものまで使って電気を作る必要があるのか」と訴える。
「電力会社にとって原発は資産。やめたら負債になるので、都合のいい見通しを立てて原発にしがみつこうとする。住民の安全を考えるなら原発はやめるべき。四電もここで立ち止まり、何が大事かもう一度考えるべきだ」
2