大阪ダブル選 関西学院大の冨田教授 無関心層を呼び起こせ

なぜ、自民支持層は前回同様、こうも切り崩されるのか。

「今の自民党は、新自由主義を主張する『経済保守』層と改憲を掲げる右派的な『政治保守』層、それに町内会や商店街などのコミュニティに根差した『社会保守』層の三つで構成されています。自民党の半数以上は経済保守層や政治保守層で、彼らは柳本さんら社会保守層より維新に親近感を持っている。それに、維新側の『自共野合批判』、つまり分断戦術が一定の効果を挙げたこともあるでしょう。自民、公明支持層には、反維新よりも反共意識が勝る傾向が大いにあり得るからです」

それに、と冨田さんは続ける。「維新の背後には菅官房長官の姿が見え隠れしています。官邸は改憲勢力としての維新を守りたいと考えていることも周知のことですから、自民支持層が維新支持に流れることに不思議はありません」

維新支持層はどんな人たちか。冨田さんは「都心の高層マンションや衛星都市の戸建てに住むサラリーマン層を中心とする経済保守層だ」と見る。

「大阪は文化住宅の隣に高層タワーマンションが建っているなど、格差が見える街です。そこに橋下徹氏によって分断が持ち込まれた」と語り、元アナウンサーの維新候補、長谷川豊氏による『透析患者は殺せ』発言を取り上げた。

「極端な話ですが、タワーマンションに住む『勝ち組』サラリーマンや起業家ら経済保守層は、本音では『よく言ってくれた』と思っている。『助け合い支え合う社会を目指すべき』と考える社会保守層との分断は消えることなく、維新は『勝ち組』を中心とした支持基盤を組織化し、固定化したと言える。大阪は痩せても枯れても日本第2の経済都市。全国から集まってきたサラリーマン層は大阪への愛着が薄い。そんな人たちに『大阪市をなくすな』と呼びかけても、訴えは届きません」

また、今回はダブル選だけでなく、府議選と市議選を合わせて4重選挙に持ち込んだ維新側の戦術も勝利を呼び込む結果となったという。

「共産や立憲民主を支持する人たちの中には、自民公認の柳本さんらを応援するよりも自分たちが推す府議や市議候補を応援するのは当然でしょう」

その結果、維新は府議選でも過半数を取り、市議選でも過半数まで2議席というところまで躍進した。一方、自公、共産などは大幅に議席を減らした。

当選を決めた後の記者会見で、松井氏は「これまで二重行政をなくし、府市一体で取り組んできた。その結果に対し、府市一体でこの大阪を住みやすい街にするようにというご判断をいただいたと思う」と語り、吉村氏も「選挙戦では大阪都構想を掲げてきたが、都構想の再挑戦にも踏み出したい」と、2度目の住民投票実施に意欲を示した。

とはいえ、「都構想」実現にはいくつかのハードルがある。

まず、「都構想」の制度設計を話し合う「法定協議会」で制度案を策定しなければならない。ダブル選前はここで止まっていた。だが、委員数は議会での会派構成が反映されるため、維新が過半数を握ることは間違いない。

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