台風19号1カ月 見えぬ先行き 疲労増す

東日本各地で記録的な大雨をもたらした台風19号が上陸して1カ月がたった。堤防の決壊は7県の71河川に及び、浸水範囲は昨年の西日本豪雨を超えたほか、土砂災害も20都県で935カ所確認され、一つの台風による被害としては最多を記録、住宅被害は8万棟を超えた。被害が広い範囲に及んでいることから支援の手が足りず、冬の到来を控えて被災者は疲労の色を濃くしている。報道も減り、忘れられつつある被災地の一つ、福島県いわき市を訪ねた。(矢野宏)

2019年10月12日から13日未明にかけて、いわき市は市内を流れる夏井川の堤防が7カ所で決壊し、流域の多くの住宅が浸水した。床上・床下浸水は4535棟を数え、犠牲者は8人、いずれも自宅で溺死している。

市内で被害の大きかった下平窪地区を訪ねると、国道399号沿いのドラッグストアーの駐車場でボランティア団体による炊き出しが行われていた。この日のメニューは豚汁とカレー。

「久しぶりに温かいご飯をいただきました」

 

佐藤久子さん(88)は被災した自宅の2階で夫、息子夫婦と暮らしている。
12日夜、佐藤さんは外で犬がしきりに吠えるので、誰か来たのかと思い、玄関を開けると水が迫っていたという。

「まるで海でしたよ」

佐藤さんは夫を起こし、あわてて2階へ避難した。1階部分が浸水し、2階にも迫ってきた。何とか命は助かったものの、築40年の自宅は暮らせる状態ではない。建て替えを決意したが、みなし仮設住宅の抽選に外れ、地区外の民間アパートを借りることにしたという。

「家の解体にもお金がかかるし、生活用品も一からそろえなければならない。建て替えるまでの家賃をどこまで負担してくれるのか……」。佐藤さんの不安は尽きない。

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