「都構想」再びノー 大阪市廃止 押し返した草の根市民

知恵絞る市民 

前回の住民投票は維新対その他の政党という構図。しかし昨年春、松井一郎市長=大阪維新の会代表、吉村洋文知事=同代表代行がダブル選で勝利したことなどから公明党が賛成に転じ、2度目の住民投票が決まった。大阪維新の会は市長・府知事職を占め、市議会、府議会とも大きな勢力を持つ。松井市長は、「都構想」推進は「役所のミッション」と公言、全戸配布した市の説明パンフレットも住民説明会もメリット一色に彩られた。

 

告示(10月12日)前の報道各社の世論調査は賛成が上回った。一方で「賛成」だが「都構想」そのものは「よくわからない」という層が多いのも共通していた。「都構想」というイメージだけが先行し、政令指定都市である大阪市が廃止され、特別区という自治体に4分割されるという大前提すら市民に共有されているとはいえない状態だった。

DSC_2585.JPG

そんななか、危機感を強めた市民たちが自発的・同時多発的に動きだした。デザインなど各分野に心得のある人たちが創意工夫を凝らし、問題点をわかりやすくまとめたチラシやパンフレット、動画を次々と生み出した。大阪市廃止「反対」の思いを持つ人たちがSNSでシェアしあい、それらを手に駅前や商店街に立ったり、ポスティングに歩いたりするようになった。いてもたってもおれずに、初めてこうした活動に参加したという人が多かった。小さなアンプを用意し仕事帰りに一人街宣する人、自転車にチラシを張って走る人、家の塀にポスターやチラシをいくつも張り出した人、情報公開請求や監査請求をする人。ツイッターデモも広がった。こぢんまりとした地域の勉強会も各地で開かれた。「ええことばっかりいうけど、ホンマはどうなん?」。さりげなく受け取ったチラシをよく見たら、「反対のポイント」を自分なりにまとめたお手製ということもあった。

1 2

3

4 5 6

関連記事



ページ上部へ戻る