新型コロナが病院直撃「医療現場崩壊招く 経営危機」

二つ目は「不要不急の検査や手術を控えたこと」。各学会からも感染防止の目的で控えるよう指示があったというが、これも経営悪化に拍車をかけたという。
三つ目が「コロナ対応で収益が減ったこと」。耳原総合病院はコロナ専門病院ではないが、接触者外来を設けていた。感染が疑われる患者は保健所の「帰国者・接触者相談センター」に連絡しなければならないが、なかなかつながらない。受け入れ病院に診察を依頼しても予約が取りにくいケースも頻発。大阪市や八尾市、東大阪市などで診療を拒否された「発熱難民」がたびたび救急車で搬送されてきた。耳原総合病院は「受け入れを断らない病院」と知られており、多いときは1日15~20人を受け入れてきた。

PCR検査の結果が出るまで、あるいは陰性でもコロナ疑似症として感染予防を行いながら治療を行うために、小児科病棟をコロナ専門病棟とした。院内感染を起こさないために、一般患者と接触しないようにしなければならない。病棟を「レッドゾーン」と「クリーンゾーン」に分け、医師や看護師は防護服を着て対応した。
感染予防に必要な経費は、ほとんどが病院側の持ち出しだった。田端理事長は「コロナかどうかわからない疑似症者を受け入れるだけでも経営的、精神的に大変でした」と振り返る。
「1病棟30床のところに30人を受け入れることはできません。感染予防のため個室に準じた管理が必要ですから、半分の15人受け入れたとしても、あとの15床は『遊び病床』となります。1日入院すると、病院側が得られる診療報酬は、当院では約6万5000円ですから15床分の診療報酬がなくなることになります。それに、コロナに感染している可能性もあるわけですから院内感染を防がなければならない。普段は救急医療を行っている医師に担当してもらい、感染防止の知識を持つベテラン看護師を配置しなければならず、医療スタッフの数や手間が通常の数倍必要でした」

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