玉本英子さん「イラクとシリアの現状」 ISは終わっていない

今年最初のうずみ火講座が1月10日、大阪市此花区のクレオ大阪西で開かれ、アジアプレスの玉本英子さんが「取材映像から見るイラクとシリアの現状」と題して講演した。玉本さんは25年にわたって中東を取材。現地で撮影した最新映像と写真を紹介しながら、大国のエゴに翻弄される現地の人々の生活を報告した。

 

昨年10月7日、アメリカのトランプ大統領がツイッターに「シリアのバカげた戦争から手を引くべきだ」とつぶやいた。そのとき玉本さんはシリア北部のカミシュリに滞在中だった。トルコ国境の、クルド人の多く住む町だ。2日後、カミシュリに砲弾がさく裂、住民の死者も出た。トルコ軍が「平和の泉作戦」と称し、クルド勢力地域への越境攻撃を開始したのだった。シリア北東部を実効統治するクルド・人民防衛隊(YPG)主導のシリア民主軍(SDF)勢力を排除することが狙い。トルコのエルドアン大統領はシリア・クルド勢力を「テロ組織」とみなし、国境を挟んで対峙してきたのだという。

しかしSDFは過激派組織イスラム国(IS)と最前線で戦い、米軍も武器供与などで連携した。トルコとの国境地帯では米軍がSDFとトルコとの間に入る形で衝突を抑制していたという。双方は国境に沿った安全地帯構築で合意し、米軍・トルコ軍の合同パトロールも始まったばかりだった。

「トランプ大統領のツイッター翌日に米軍の監視ポイントがあった建物に行くと、もぬけの殻だった。発電機や食糧もそのまま。慌てて引き上げたのだろう。翌日、トルコの軍事侵攻がはじまった。なぜ撤退かといえばトランプ大統領が大統領選を優位に進めたいから。しかし、それで現地の人たちはどうなったのか。300人以上の民間人が命が落とし、20万人以上が家を失った」

玉本さん提供

2011年に始まったシリア内戦は、アサド政権と反体制派が対峙、そこにISが台頭し、三つ巴の戦いになった。17年10月にはクルド勢力の民兵組織YPGが主体のSDFが、ISが首都と称してきた北部ラッカを奪還した。その戦いのなかでも民間人が多数巻き込まれたという。

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