ゴジラと憲法「自衛隊の戦略」 被害抑止へ知恵絞る

2019年11月3日、ゴジラは生誕65周年を迎えた。東京では「ゴジラ・フェス2019」が盛大に開かれ、関西でも兵庫県西宮市でイベントが開催されて多くのファンが足を運んだ。この65年間、日本で制作された実写版の映画は29作品にのぼる。それ以外に、ハリウッド版とアニメ版それぞれ3作品が制作されており、国内外にその名をとどろかせてきた。

西宮で開かれたイベント

西宮で開かれたイベント

ゴジラ映画は、その制作時期から大きく四つのシリーズに分類することができる。1954年の第1作『ゴジラ』から、75年の第15作『メカゴジラの逆襲』までは「昭和ゴジラシリーズ」。84年の第16作『ゴジラ』から、1955年の第22作『ゴジラVSデストロイア』までは「平成ゴジラシリーズ(VSシリーズ)」。99年の第23作『ゴジラ2000ミレニアム』から2004年の第28作『ゴジラFINAL WARS』までは「ミレニアムシリーズ」。そして16年の第29作『シン・ゴジラ』(この1作のみであるので、特にシリーズ名はない)だ。

登場しない米軍

このうち、第1作を含む昭和ゴジラシリーズには、一つの共通点がある。それは米軍、特に在日米軍が全く登場していないことだ。ゴジラが「人類への脅威」から「人類の味方」へとスタンスを変えた第5作『三大怪獣地球最大の作戦』以降は、ゴジラに対する攻撃(防衛)は皆無となってしまうが、1964年の第4作『モスラ対ゴジラ』までは、日本に出現したゴジラに必死の攻撃(防衛)が繰り広げられた。その主役は自衛隊だったのである。

第5作以降も、ゴジラの「対戦相手」である怪獣を攻撃(防衛)する場合があったが、その主役はやはり自衛隊であった。74年の第14作『ゴジラ対メカゴジラ』の舞台は、2年前に返還された沖縄であったが、その時も在日米軍は全く登場しなかった。昭和ゴジラシリーズに米軍が描かれなかったことが、意図されたものなのか、単なる結果論なのかは、今のところ確かめることはできない。しかし、日本各地に米軍基地が存在するにもかかわらず、怪獣に対する攻撃(防衛)に全く米軍の姿が見られなかったことは事実だ。

これは昭和シリーズに限ったことではないが、ゴジラは放射能火炎(白熱光)をむやみに人類に向けて吐くことはない。日本に上陸したゴジラは、基本的に建物などを破壊しながら前進するのみなのである。第1作『ゴジラ』でも、1回目の上陸時は全く放射能火炎は吐かなかった。2回目に上陸した際、自衛隊の火器による猛攻を受けて初めて放射能火炎を吐いた。その結果、街は火の海に包まれ想像を絶する被害を受けたのである。

つまり、こちらから攻撃をしない限り、ゴジラは人類の力では為す術もない自然災害に限りなく近い存在だと言える。ゴジラに対して自衛隊が最も効果を発揮したのは、人々の避難誘導と、55年の第2作『ゴジラの逆襲』で描かれた対応であった。一つは、大阪に迫るゴジラに対し、光に対して強い反応をするという習性を利用して、照明弾によってゴジラを大阪湾外に誘導するという作戦だ。灯火管制が敷かれた大阪市内で、不慮の火災が発生してしまうまで、この作戦は成功していた。

もう一つは、大雪崩を起こしてゴジラを生き埋めにしてしまう作戦で、ゴジラの脅威を封じ込めることに成功した。照明弾の投下も、大雪崩を起こすための爆破も、自衛隊の戦闘機やロケット弾が使われたが、それらを装備していなかったら別の手段が考えられたに違いない。ゴジラを直接攻撃するのではなく、様々な知恵を絞って被害を最小限にとどめることが、映画の中で唯一有効な対応となっていたのだ。

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