ワンコリアフェスティバル アジアの未来を共に

日韓関係が冷え込む中、朝鮮半島の統一と東アジアの平和を願う音楽イベント「ワンコリアフェスティバル2019」が8月25日、大阪市中央区のドーンセンターで開かれた。在日コリアンの歌手のほか、韓国を中心にアジアで活躍するK‐POPアイドルが迫力ある歌やダンスを披露し、会場から大きな歓声や拍手が寄せられた。        (矢野宏)

ワンコリアフェスティバルが始まったのは1985年の冷戦時代で、在日コリアンにも南北分断が持ち込まれていた。大阪市生野区で生まれ育った在日3世の鄭甲寿(チョン・カプス)さん(65)は「在日コリアンがまず『ハナ』(一つ)になり、祖国統一の機運をつくれないか」と考え、朝鮮民謡「アリラン」が南北関係なく愛されていることに注目。「音楽で心の中の38度線を取り除こう」と、毎年1回、大阪で音楽祭を開いてきた。
35回目を迎えた今年は「3・1独立運動」100周年。趙博(チョウ・パク)さんや朴保(パク・ポー)さんら在日歌手に加え、韓国人声楽家らが出演したほか、ソウルから訪問団約60人も参加。元農林部長官(農水大臣)の金泳鎮(キム・ヨンジン)さん(71)が約500人の来場者を前に日韓関係の改善を呼びかけた。
金さんの父親は韓国・全羅南道で暮らしていたが、25歳の時に突然、朝鮮総督府の警察官に捕らえられ、多くの朝鮮人とともに輸送船に乗せられた。向かった先は長崎の軍艦島。炭鉱で強制的な労働を強いられたという。
「日本の敗戦で、ようやく韓国へ帰ってきたアボジは耳もよく聞こえず、足のしびれも引かないなど、満身創痍だったそうです」
あまり多くを語らなかった父親だったが、金さんが高校生になったとき、涙を流しながらこう切り出した。「日本がしたことを決して忘れてはいけない」と。
「炭鉱では事故も多く、大勢の仲間たちが犠牲になったそうです。アボジ(父)も突然、足元の岩盤が崩れて差し出した右腕をたまたま仲間がつかんでくれて助けられたこともあったと言っていました。明日をも知れぬ労働の中で、親切な日本人もいたそうです」
その後、国会議員に当選した金さんは、土肥隆一衆院議員(故人)らと日韓キリスト教議員連盟を設立し、日韓関係の改善に努力した。
それだけに、泥沼化する日韓関係に心を痛めている。
「根本的なことは日本による植民地支配で徴用工や慰安婦など、どれだけ人生をねじ曲げられたか。しかも正式な謝罪もない。踏んだ方は忘れがちですが、足を踏まれた側はその痛みを忘れません。植民地支配の歴史を正しく認識することが関係改善の第一歩になるのではないでしょうか」
フィナーレのあいさつで、鄭さんは実行委員長を後進に託すと宣言し、こう語った。
「ワンコリアフェスティバル35年間の中で、今年は最悪の日韓関係です。それでも韓国からたくさんの人たち来てくれ、会場にはこうして日本の皆さんがたくさん集まってくれました。皆さん、国籍や国境を超え、ワンコリア、ワンアジアの未来を共に創っていきましょう」

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