玉本英子さん講演「IS支配地域はいま」

新聞うずみ火主催の「うずみ火講座」が2月9日、大阪市此花区西九条のクレオ大阪西で開かれ、20年以上中東の紛争地で取材を続ける映像ジャーナリストの玉本英子さんが「IS支配地域はいま」と題して講演した。玉本さんはフリージャーナリスト集団「アジアプレス」所属。過激派組織「イスラム国(IS)」撤退後のシリアやイラクでの最新映像を交え話してくれた。講演要旨をお届けする。(栗原佳子)

ISの「首都」とされたシリア北部のラッカに昨年10月に入った。ISが敗走して1年あまり。人々はどのような状況下にいるのか、戦闘の中、どう暮らしていたのか、どう死んだのか。現場で取材した。

ラッカは人口約60万人。ユーフラテス川が流れる歴史ある都市だが、町には戦闘の跡が色濃く残っていた。公開処刑が行われていた広場で人々にインタビューした。「70人以上がここで処刑されるのを見た」と言う人もいた。

ISのシンパはまだラッカ市内にいて、ISによる暗殺事件も横行していた。インタビューに応じていいという人はなかなかいなかった。そんな中、ある地区で取材をしているとき、10歳のファティマちゃんが訪ねてきた。「外国人が来ている」と知り、車いすで必死にやってきたのだ。 彼女は米軍主導の有志連合の砲弾で右足を失った。母親と昼ごはんを作っているとき突然爆弾が落ち、母親と3人の姉が死亡した。「なんでこんなことになったかわからない」とファティマちゃん。助かった父親は彼女をすぐに病院に連れて行こうとしたが、ISは「昼の祈りの時間だから祈りに行け」と強要した。


米軍はピンポイントで攻撃していると主張していた。だが100%は絶対ありえない。地域の人に聞いたが、この通りはISの戦闘員は全く住んでいない下町だった。
ラッカだけでも最低1000人が亡くなったといわれているが、1年たっても誰がどうなったのか全くわからない。

イラクではヤズディ教徒がISの支配下で非常に迫害を受け虐殺された。ヤズディはゾロアスター教などの影響を受けた少数宗教で孔雀天使をあがめている。このため昔から一部の過激なイスラム主義者に攻撃を受けてきた。イラクの北西部に50~60万人。IS支配地域のシンジャルには約10万人が住んでいた。このシンジャルのヤズディが非常に迫害を受けた。ノーベル平和賞を受賞したナディアさんがいたのもここだ。

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