映画「主戦場」 「慰安婦」問題真っ向勝負

日韓間でくすぶる「慰安婦」問題に一石を投じるドキュメンタリー映画『主戦場』が4月27日、大阪・第七芸術劇場、京都シネマ、名古屋シネマテークで公開される。監督は日系アメリカ人2世のドキュメンタリー映像作家、ミキ・デザキさん(35)。歴史認識で対立する研究者らの主張を交互に配置して論点をあぶり出し、「慰安婦」問題を解きほぐしそうとした労作だ。

デザキさんが関心を持ったのは日本の大学院に留学した2015年。きっかけは元朝日新聞記者の植村隆さんに対するネット右翼などからの攻撃だった。デザキさんにも英語指導助手をしていた13年、「日本国内の人種差別」と題した映像を発信したところ炎上、個人情報を暴かれた体験があった。「右翼が特定の誰かを黙らせようとする、苦しんでいる人たちがいると感じた。したら、そこに問題の本質があるとも考えた。幼い頃からアジア系として直面してきた人種差別の構図にも重なったという。

デザキさんは「相手の言い

分を聞くことが、解決への第一歩」だとして、論争の中心にいる人物たちへのインタビューを試みた。いわゆる「否定論者」から、例えばジャーナリストの櫻井よしこさん、テレビタレントのケント・ギルバートさん、衆院議員の杉田水脈さん、「新しい歴史教科書をつくる会」の藤岡信勝さん、逆の立場から植村さん、歴史家で研究の第一人者、吉見義明教授や林博史教授、「女たちの戦争と平和博物館」の渡辺美奈さんら。

日本、韓国、アメリカの3カ国で約30人を取材した。アメリカは複数の都市で「慰安婦」を象徴する少女像が建設されており、否定派が「歴史戦の主戦場」と位置付ける場所である。

慰安婦の数として引き合いに出されてきた「20万人」という数字は正しいのか。強制連行はあったのか。性奴隷という表現は実態に即しているか。日本政府の謝罪と法的責任とは何か――。

「慰安婦」問題をめぐる代表的な争点をデザキさんは理詰めで分析していく。対極にある主張がぶつかりあう「言論バトル」。ニュース映像なども織り交ぜながら、テンポのいいナレーションや斬新な編集で、見る者を引きつける。
「作りながら『左』『右』両側から揺るがされる経験をしました。それを観客も感じてほしいです」

東京・イメージフォーラムで公開中。各地で順次公開。27日は名古屋シネマテーク、第七芸術劇場、京都シネマでそれぞれ、デザキさんの舞台挨拶がある。  (栗原佳子)

 

「新聞うずみ火」の年間購読は下記からお願いします

関連記事



ページ上部へ戻る